安全制御の問題点とPROFINETによる解決策

オーバービュー

  1. 安全制御の問題点

  2. PROFINETで安全制御

  3. PROFIsafeを利用した解決策

  4. PROFINETの活用例

  5. 機能安全規格適応のためのサポートツール

4. PROFINETの活用例

 マシンの設計者は皆、マシンの標準化、モジュール化を行い、プロジェクトを受注し、設計、出荷、現地での立ち上げまでの時間を短くしたいと考えています。機器ごと、機能ごとにマシンを分割し分散制御を行うアイディアは従来からありましたが、ネットワークがその実現を困難にしていました。マシンのネットワークは、主に情報系のイーサネット、制御系のバス(例えばマスタースレーブ用バスやマスター間用バス、ドライブ用バスなど)、安全制御用のバスなど複数存在しています。この複数のCPUを分散し、それらのネットワークを接続しようとすると、コネクション設定やプログラム、管理などといった多くのエンジニアリングが必要となり、これが実現への大きな壁となってきました。マシンの設計者を長年悩ませていたこの問題点を解決できるのがPROFINETです。

 PROFINETはこの複数のネットワークを1つのネットワークに統合することができます。コネクションもシンプルになるため、当然エンジニアリングもシンプルになり、各モジュールでの単体立ち上げや調整を行う際、必要なインターロックの無効化などのテストモードもシンプルに実行でき、自動モードにも速やかに移行できます。もちろん、接続はケーブル1本挿すだけ。通信相手の増設も簡単に行えるので、現地立ち上げ時間の削減と出向しているエンジニアを早く引き上げさせることも可能となるでしょう。

下図はプレスラインでの一例です。

図4.プレスラインでのPROFINET活用例

各プレスを1つのモジュールとして扱った例です。

 このプレスラインプロバイダは、従来から機器や機能のモジュール化を進めていましたが、上述のように複数のネットワーク(情報系イーサネット、一般制御)と安全用インターロックのためのハードワイヤリングが大きなボトルネックとなっていました。そこで数あるネットワークの中で採用したのがPROFINETです。その理由は、必要な機能すべてを1つのネットワークで満たせるからです。PROFINETの高速通信が、安全制御で要求されるスピードも満足できたことも、大きなポイントでした。このネットワークの採用により、ハードウェアのアーキテクチャもシンプルになり、制御キャビネットのスペースの削減もできました。具体的には、S7-300Fは一般制御と安全制御を実行しています。モジュール内の制御は、機能ごとにパラメータによるプログラムで標準化機能ブロックを作成、ライブラリ化し、機械とプログラムの一体化を行っています。よってプログラム作成時間の削減を図っています。リモートI/OはET 200Sシリーズを使用し、一般制御及び安全I/Oを混在して使用しています。ドライブとの通信は制御及び安全通信を行っています。

 この制御方式を採用してから、設計から現地でのモジュール単体の立ち上げ、システム全体のデバックまでの時間をかなり削減して、効率のよい安全制御を実行できるようになりました。余談ですが、盤が小さくなってマシンの見た目も良くなったようです。また、上位PCとも同一ネットワークで接続しており、各モジュールに含まれる制御機器の持つ詳細情報を直接簡単に取得できます。これにより、システムの故障箇所の詳細を瞬時に表示できるため、ダウンタイムの削減も期待できます。このケースでは、ネットワークがインターネットに接続しており、リモートアクセスができるようになっています。


 これはPROFINETを採用した一つの成功事例ですが、すべての機械にこれが当てはまるわけではありません。シェアやトレンドに捉われるのではなく、数多くのネットワークの中でどのネットワークが対象となる機械に最適なのかを考えるべきでしょう。

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